【2021年1月】キヤノンの財務諸表を5分で解説。

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キヤノン

こんにちは!先週14日にキヤノンが2020年12月期の連結業績予想を上方修正したことが好感され、株価が前日比+174円高の2248.5円まで値を上げした。

具体的には、2020年12月期について予想売上高を
■従来:3兆1400億円
■修正:3兆1600億円
としました。

ただし、2019年12月期比では売上高12.1%減であることに注意が必要です。

営業利益についても
■従来:640億円
■修正:1050億円
と引き上げ
しましたが、2019年12月期比では39.9%減です。

第4四半期(10-12月)において、フルサイズミラーレスの新製品がけん引するカメラに加えて、在宅需要が続いておりインクジェットプリンターなどが、特に利益面で計画を上回って推移した。とのことです。

私はキヤノン株を100株を保有しており、嬉しいニュースではありますが、
まだまだ評価損状態です。

私のキヤノン保有状況

ということで今回は、キヤノン自動車の財務諸表を確認してみました。

※この記事は私個人が同社の決算資料から算出したためご参考程度にご覧ください。

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キヤノンの2021年1月14日の上方修正の内容

キヤノンが2021年1月14日に発表した上方修正の内容は以下の通りです。

キヤノンの2021年1月14日の上方修正の内容

新型コロナウイルスの感染拡大により縮小した 2020 年の当社関連市場は、第 3 四半期に入り想定より早期に回復してきたため 2020 年 10 月 26 日に当社業績予想を上方修正しましたが、第 4 四半期はフルサイズミラーレスの新製品が牽引するカメラや、在宅需要が続くインクジェットプリンターなどが、特に利益面で計画を上回って推移したことから、業績予想を再び修正することといたしました。

キヤノンの財務概要

キヤノンの直近の各財務諸表を下記にまとめてみました。

キヤノンの売上高・利益の推移

キヤノン自動車の2016年3月期から2020年3月期実績の売上高・各利益の推移は以下の通りです。

キヤノン 売上・利益の推移

※単位:百万円

▼参考:2019年のキヤノン決算資料は下記です。

2019年12月キヤノン決算資料より


・売上高 3兆5,933億円
・営業利益 1,747億円
・純利益 1,251億円

2016年12月期・2019年12月期予測を比較すると
売上高:3兆4014億円 → 3兆5932億円
当期利益:1506億円 → 1251億円
となっています。

キヤノンの貸借対照表の推移

次にキヤノン自動車の2016年12月期、2019年12月期の貸借対照表を比較してみます。

キヤノンの貸借対照表

※単位:百万円

規模としては、5兆1385億円→4兆7683億円4000億円程度減少しています。

詳細は以下で見ていきます。

キヤノンのキャッシュフロー計算書

次にキャッシュフローの推移をみていきます。
2016年は大きく投資をしてフリーキャッシュフローがマイナスになっていますが、それ以降は営業活動で得た現金を積み増していることが見て取れます。

直近の売上・利益は減少しておりますが、現金をしっかり稼げていることがわかります。

キヤノンキャッシュフロー推移

※SBI証券より引用

キヤノンの財務分析

それでは上記で見てきた財務諸表をもとに2016年12月期、2019年12月期で

・成長性
・収益性
・安全性

の3つの観点で比較・分析していきます。

キヤノンの成長性の分析

まずは成長性の分析してみます。
売上は5.64%とこの期間だけ見るとプラス成長となっています。

①売上高の増加率
5.64%

②ROA(総資産利益率)
2.93% → 2.62%

総資産利益率(ROA:ReturnOnAssets。略称の読み方はアールオーエー)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。負債を含めたすべての資産をいかに効率的に運用できているかを表しています。
若干ですが悪化していることがわかります。

③総資産回転率
66.20% → 75.36%

「総資産回転率」とは、事業年度において会社の資産をどの程度生かせているかを表す財務諸表上の指標のことである。 回転率は、財務諸表上の売上高を総資産で割ることで求められ、事業年度内に総資産が何度にわたり、全て使われ売上をもたらしたかを示す。 総資産回転率が高いほど会社の資産が効率的に活用されていると判断されます。
改善していますが、貸借対照表で見た通り資産規模が縮小しているから相対的に数字が良くなっておりあんしんできません。

④売上高利益率
4.43% → 3.48%

売上高利益率とは、売上高のうち何%を利益として残すことができたのかを示す指標をいいます。 定 義:売上高に対する売上総利益の割合。 粗利とも呼ばれます。 売上高売上総利益率が高い方が、競争力があることになります。
1%程度下落しており、良くない傾向です。

以上を図解すると下記の通りです。

◾️2016年12月期(単位:百万円)

キヤノンの2016年実績

◾️2019年12月期(単位:百万円)

キヤノンの2019年実績

キヤノンの収益性分析

次に収益性を見ていきます。

①ROA 【総資産】利益率
2.93% → 2.62%

②ROE 【自己資本】利益率
5.03% →4.33%

バランスシート全体=自己資本がそもそも小さくなっているおり、また収益性についても減少しまっていることがわかります。

キヤノンの安全性分析

最後に安全性を見ていきます。

①自己資本比率
58.28% → 60.65%

自己資本比率は60%超を維持しており、悪くないです。

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値であり、<自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)>の式で算出します。 自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。

②流動比率
213.53% → 192.19%

1年以内に返済が必要な負債に対して換金性の高い資産でまかなえているかですが、192.19%を維持しており十分賄えていることがわかります。

流動比率とは、1年以内に返済が必要な負債(流動負債)に対して換金性の高い資産(流動資産)でまかなえているかを確認する指標です。100%以上であれば賄えているといえます。

③固定比率
101.47% → 101.05%

土地や建物などの固定資産を自己資本だけでまかなえているかどうかですが、
引き続き100%程度となっており、問題ないといえます。

固定比率とは、土地や建物などの固定資産を自己資本だけでまかなえているかを確認する指標。低いほど良い。

④固定長期適合率
73.13% → 76.75%

固定資産を自己資本と長期負債でまかなえているかですが、70%台を維持しており十分に賄えており安全です。

固定長期適合率とは、固定資産を自己資本と長期負債でまかなえているかを確認する指標。低いほど良い。

⑤手元流動性比率
222.32% → 137.86%

現金を積み増しているので、月商1.3か月分の現金を持っており、数字上は安全と言えますが、大きく減少している点に注意が必要です。

手元流動性比率は、換金性の高い流動資産を一月当たりの売上高で割ったものです。手元流動性比率が高いほど資金に余裕があり、低いと資金繰りがきついことになるから短期的な支払余裕度を示す指標である。資金繰りの良し悪しを見る指標とも言えるだろう。

キヤノンの財務諸表のまとめ

今回は、今後の経営がどうなるか注視されるキヤノンの財務分析をしてみました。
また2020年12月の決算が発表された際は再度分析を行ってみたいと思います。

売上・利益は大きく下落しておりますが、今回の上方修正でコロナの影響はひと段落と考えてよければ、悪くないのではないでしょうか。

また、直近の経営状態は悪くはなく、コロナ禍でもしっかりと利益を出せているようです。
配当については残念ながら維持はされていませんが、今後の復活を祈りつつ、ホールドしていきます。

キヤノンの配当金

補足:100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2021

今回の記事は、100分でわかる! 決算書「分析」超入門2021をもとに分析を行ってみました。2時間程度で読めて全体感がつかめるため、おすすめです。

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今年も、ソフトバンクグループ、JAL、日産、Netflix、ワークマン、
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