目次
1.はじめに
6月24日(火)、横浜のグローバル本社で開かれた日産自動車(7201)の第126回定時株主総会は、開始から終了まで約3時間にわたり、経営陣への厳しい声が相次ぐ波乱の場となりました。
私自身、600株を保有し評価損−29.8万円(評価損率−59.6%)を抱えるホルダーの一人として、オンライン配信を視聴しながら胸がザワつく瞬間が多々ありました。
以下、総会のポイントと個人投資家目線での所感をまとめます。
2.総会の概要と主要トピック
開催日時 | 来場/オンライン参加 | 所要時間 | 承認・否決された議案 |
---|---|---|---|
2025年6月24日 10:00〜13:06 | 1,071名 | 3時間6分 | 会社提案2議案は可決(定款一部変更/取締役12名選任)、株主提案5議案はすべて否決 nissan-global.comjp.reuters.com |
2-1 業績悪化への陳謝
新任のイヴァン・エスピノーサ社長は冒頭、「再建は急務」と繰り返しながら、
-
2025年3月期の最終損失 6,708億円
-
今期4-6月期(Q1)営業損失見通し 2,000億円
-
4年ぶりの無配転落
を正式に謝罪しました。jp.reuters.com
2-2 再建プランと具体策
-
工場削減:2027年度までに世界17工場→10工場へ(7工場閉鎖予定)
-
人員削減:世界で約20,000人(15%)削減
-
北米戦略:関税対策として米国6車種へのマーケティング集中、インフィニティ強化
株主からは「国内追浜工場が閉鎖されたら町が吹き飛ぶ」「具体的な工場名を示さないのは不誠実」といった怒号も飛び交いました。jp.reuters.com
2-3 ガバナンスと報酬問題
-
取締役5名が1億円超の報酬(内田前社長は退任慰労含め3.9億円)
-
「業績連動性が弱い」との批判を受ける株主提案が出るも否決
-
アクティビストのストラテジックキャピタルが「連結子会社日産車体の完全子会社化」を要求(定款変更案)→否決 reuters.com
3.数字で見る私のポジション
保有株数 | 取得総額(概算) | 取得単価 | 6/24終値 | 評価額 | 評価損益 | 損益率 |
---|---|---|---|---|---|---|
600株 | 499,800円 | 約833円 | 336.5円 | 201,900円 | −297,900円 | −59.6% |
※取得単価は「評価額+評価損」から推計。改めて数字にするとパンチが効きます……。
4.個人投資家が注視すべきポイント
チェック項目 | 内容 | 筆者メモ |
---|---|---|
再建シナリオの実行力 | 工場閉鎖と人員削減が本当にコスト改善に結びつくか | 進捗を四半期ごとの損益で逐次確認 |
配当復活時期 | 無配がいつまで続くか(23年FY以来の復配が遠のく) | CFOコメントやIR説明会資料を要チェック |
北米関税リスク | 米国関税再交渉の行方と販売構成 | 新型EV「Arizon」投入が間に合うか |
ガバナンス改革 | 取締役会の独立性と報酬制度の見直し | 22年以降の不祥事再発防止策が機能するか |
5.ホルダーとしての所感
-
「塩漬け」か「買い増し」かの岐路
-
損切りは簡単だが、PBR 0.4倍台・株価純資産比が極端に低い現状は底値圏とも映る。
-
ただし赤字幅が大きく、ROE改善には時間がかかりそう。
-
-
配当ゼロの期間との兼ね合い
-
私の場合、配当利回り狙いで購入した経緯もあり、無配が長期化するなら機会損失が拡大。
-
-
ガバナンス改善への期待値
-
株主提案は否決されたものの、親子上場問題や報酬透明化は社会的圧力が強く、今後改善余地はある。
-
6.まとめ
今回の総会は、**「怒号」「謝罪」「否決」**という言葉が象徴するように、株主の不満と経営陣の危機感が正面衝突した場でした。私自身はしばらく静観しつつ、
-
四半期決算の進捗
-
工場閉鎖・人員削減の具体化
-
配当方針のアップデート
を定点観測し、平均取得単価を大幅に下げられる安値があれば追加投資も検討――そんなスタンスで臨みます。
教訓:業績・配当・ガバナンスの「三位一体」で企業価値は動く。数字と現場の両面を冷静に追いかけたい。
コメント