【2025年4月】ユニクロとセブン&アイの決算が対照的だった理由とは?

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コラム

2024年度の決算が出そろう中、ファーストリテイリング(ユニクロ)とセブン&アイ・ホールディングスの業績が対照的な結果となりました。売上・利益ともに過去最高を更新したユニクロに対し、セブン&アイは増収ながら営業利益が大きく減少しています。

この記事では、両社の決算をデータで比較しながら、特に注目されるEC(電子商取引)・デジタル施策の違いに焦点を当てて解説します。


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1. 業績の比較:成長と苦戦がくっきり

まずは、両社の主要な業績指標を一覧にして比較してみましょう。

指標(最新期) ファーストリテイリング(ユニクロ) セブン&アイHD
売上収益 3兆1,038億円(+12.2%) 11兆9,727億円(+4.4%)
営業利益 5,009億円(+31.4%) 4,209億円(-21.2%)
純利益 3,719億円(+25.6%) 1,730億円(-23.0%)
営業利益率 約16.1% 約3.5%

ユニクロは高収益な海外展開が奏功し、増収増益を達成。 一方、セブン&アイは北米のコンビニ事業が利益を圧迫し、大幅な減益となりました。


2. 国内・海外事業の構造の違い

両社のビジネス構造も対照的です。

ユニクロ:海外が牽引

  • 海外ユニクロ事業の売上:1兆7,118億円(+19.1%)

  • 営業利益:2,834億円(+24.9%)

国内もインバウンド需要の復活で過去最高益となりましたが、主役は明確に海外市場です。欧米でも「LifeWear」のコンセプトが浸透し、ブランド力を発揮しています。

セブン&アイ:北米の重荷

  • 海外コンビニ(主に米国)売上:9兆1,707億円

  • 営業利益:2,162億円(前年比▲28.3%)

北米のインフレや人件費増が響き、大規模な買収(Speedwayなど)を進めたものの、統合効果がまだ十分に発揮されていません。一方で、国内コンビニ事業は堅調に利益を維持しています。


3. EC・デジタル戦略の違いが明暗を分ける

ユニクロ:EC売上比率は約15%、世界とつながるビジネスモデル

ユニクロはオンラインストアとの融合を着実に進め、国内ユニクロの売上の14.7%がEC由来。世界全体では約15%にのぼり、グローバル展開と同時に**「売らない店舗」から「売るメディア」へと変化**しています。

特に注目すべきは以下の点です:

  • 店舗在庫と連動した「クリック&コレクト」導入

  • RFIDを活用した在庫管理の高度化

  • デジタルマーケティングによる販売支援

セブン&アイ:統合EC「オムニ7」終了、新たな挑戦へ

かつてはグループ横断の「オムニ7」に期待が寄せられていたものの、2023年にサービス終了。現在は各ブランドごとに独立したEC体制を構築し直しています。

ただし、再起をかけて新たに注力しているのが、**即時配達サービス「7NOW(セブンナウ)」**です。


4. セブンナウの現状と可能性

7NOWは、スマホやPCから注文すると、最短30分で近隣のセブン-イレブンの商品を届ける新サービスです。

導入状況

  • 2024年2月時点で全国約1万2,000店が対応(1都1道14県)

  • アプリリリースにより使いやすさが向上

特徴

  • 店舗価格で販売(配送料:300円前後)

  • 他社が取り扱わない「タバコ」も配達可

  • 年齢確認機能や自社物流との連携で対応

ユーザー傾向

  • 女性が6割以上

  • 50代以上が多く、日用品配達に対するニーズが高い

  • 「重いものを運ばなくて済む」「急な来客に便利」など評価されている

今後の展望

  • セブン&アイは2031年までに7NOWの売上1,200億円を目指す

  • 宅配ピザ分野への参入や、スーパー併設型店舗との連携で収益性を強化

  • 即配市場における先行優位を活かし、「届けるコンビニ」への進化を目指す


5. 業界全体の中でのポジションと今後の展望

ユニクロの強み

  • 高品質・低価格なベーシックウェアでグローバルに評価

  • ECとリアル店舗を融合させた“無店舗販売力”で競争力を拡大

  • 北米・欧州での知名度向上を継続中

セブン&アイの挑戦

  • 国内コンビニ事業は盤石ながら、北米事業の立て直しが急務

  • 7NOWを軸にデジタルシフトを進め、新たな収益源へ育成中

  • 高齢化社会や買い物弱者対応としての社会的意義も大きい


まとめ:両社の「未来志向の差」が数字に表れた

2024年度の決算では、ユニクロの成長は海外展開×デジタル対応が噛み合った結果といえます。一方、セブン&アイは事業再編の最中であり、収益力が不安定な状況です。

ただし、7NOWのような取り組みが軌道に乗れば、セブン&アイもデジタル分野で大きな飛躍を遂げる可能性があります。リアルとデジタルの融合が、両社の未来を決めるカギとなるのは間違いありません。


参考リンク

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