最近、日本国債の利回りが上昇しています。10年物国債の利回りは 1.6%台と約17年ぶりの高水準です。
「株は高値で買いづらい」「定期預金に1,000万円を寝かせているけど利息が物足りない」──そんな投資家にとって、個人向け国債が注目を集めています。
今回は、SBI証券で購入できる個人向け国債の特徴を比較しつつ、今後の金利見通しを踏まえて「どのタイプを選ぶべきか」を考えてみます。
目次
1. SBI証券で購入できる個人向け国債の比較
2025年8月時点で募集された条件は以下の通りです。
| タイプ | 利率(税引前) | 税引後利率 | 満期 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 固定3年 | 0.79% | 約0.63% | 2028年9月 | 短期で運用。金利が上がると見劣りする |
| 固定5年 | 0.97% | 約0.77% | 2030年9月 | 中期安定運用。ただし固定のため上昇局面では不利 |
| 変動10年 | 0.97%(初回) | 約0.77% | 2035年9月 | 市場金利に応じて半年ごとに変動。最低0.05%保証 |
👉 ポイントは 固定 vs 変動。
いま金利が上昇基調である以上、将来を考えると 変動10年が有利 になる可能性が高いと考えられます。
2. 国債投資のリスク
-
固定金利型のリスク
金利上昇時に取り残される(機会損失)。 -
財政リスク
国債残高は1,000兆円超。減税・給付金頼みの政策が続けば市場の信認低下も。 -
金利リスク
長期金利が急上昇すれば国債価格は下落。途中換金では利息が差し引かれる。 -
政策リスク
英国の「トラス・ショック」のように、財政拡張が市場混乱を招くことも。
3. 金利の変動要因
今後、金利がどう動くかを判断するには「インフレ動向」「日米金利差」「日銀の政策」がカギになります。
| 要因 | 金利上昇につながるケース | 金利低下につながるケース | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 日本の物価(インフレ率) | 物価が2〜3%以上で定着 | デフレ圧力が強まる | 上昇なら変動国債が有利 |
| 日銀の政策 | 利上げ・YCC撤廃で長期金利上昇 | 再緩和・国債買い入れ強化 | 金利低下なら固定型が有利 |
| 米国金利との格差 | 米金利が高止まり→円安進行 | 米金利が低下→円高 | 円安なら海外資産有利、国債利回りも上がりやすい |
| 財政政策 | 減税・給付金で財政悪化 → 信認低下 | 増税・歳出抑制で安定化 | 信認低下なら国債利回り急上昇リスク |
👉 特に日米金利差は重要です。米国が利下げに慎重姿勢を示す一方、日本はインフレに合わせて金利を上げざるを得ない可能性があり、国内金利の上昇余地は依然として大きいと見られます。
4. 1,000万円を分散した場合のシミュレーション
「株が高値圏」「円安進行」「金利上昇局面」という前提で、守りと攻めを組み合わせた分散案を考えてみます。
| 資産クラス | 割合 | 投資額 | 想定利回り(税引後) | 年間リターン(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 高配当株(日本株) | 40% | 400万円 | 3.5% | 約14万円 |
| 個人向け国債(変動10年) | 40% | 400万円 | 0.7% | 約2.8万円 |
| 外貨資産(ドルMMF・外債ETF) | 20% | 200万円 | 2.0%+為替差益 | 約4万円+α |
合計リターン:年間 約20万円+為替次第
5. まとめ
-
国債は「預金より高利回り、株より安全」という中間資産。
-
固定型は金利上昇局面では不利。今の環境では「変動10年」を中心に考えるのが有力。
-
株・国債・外貨を組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを取れる。
👉 株が高値圏で手を出しづらい今こそ、「国債を資産の待機場所にする」戦略は有効だと思います。
特に変動型国債は、これからの金利上昇局面で強みを発揮する可能性があります。




コメント