【読書感想】橘玲『幸福の「資本」論』──資本主義を生き抜くための3つの視点と、私の現在地

スポンサーリンク
コラム

橘玲さんの『幸福の「資本」論』を読み、あらためて「今ここに生きていることの奇跡」を実感しました。


日本という豊かな国に生まれ、仕事にも恵まれ、資産も築きつつある。さらに、AIなどの技術革新が日進月歩で進むこの激動の時代に居合わせている。そんな現実に、まずは感謝の気持ちが湧いてきます。

書籍のネタバレを含んでしまってますので、ご注意ください。

幸福の土台となる「3つの資本」

本書では、私たちが幸福に生きるためには「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3つの土台が必要だと提唱しています。私自身の状況と照らし合わせながら、それぞれの資本について考えてみました。


① 金融資産:お金があるという安心感

これは最も分かりやすい資本で、「経済的自由」に直結します。橘さんは、正社員として堅実に働けば1億円の資産を築ける可能性が誰にでもあると説いています。私自身、年収800万円に到達し、一定の資産も築けています。

しかし、面白いのは「お金があればあるほど幸福になるわけではない」という指摘。年収800万円を超えたあたりで、幸福度は頭打ちになるという調査結果も紹介されており、まさにその境界にいる私は、「次の幸福」をどこに求めるのかが課題になるのだと感じました。


② 人的資本:仕事による自己実現

人的資本とは、自分のスキルや経験、働くことで得られる自己実現の資本です。本書では、クリエイティブクラス(俳優やアーティスト)とMacジョブ(単純労働)の対比が紹介され、自分の仕事がどちら寄りかを考えるきっかけになります。

私はディレクション業務を通じてやりがいを感じており、金融資本との相乗効果で人的資本もある程度高まっていると感じます。しかし日本の「メンバーシップ型雇用」では、職務が固定されず、ジェネラリストとして会社に縛られる構造があり、自律的なキャリア形成には向いていない側面も。

そこで本書は、「フリーエージェント」への道を提案します。つまり、好きなことに集中投資し、自分のニッチを見つけ、企業と対等に取引することで自己実現と経済的自由を両立する働き方。私自身も、今後はそうした選択肢も視野に入れたいと感じました。


③ 社会資本:幸福の根源は人とのつながり

本書が最も強調するのは、幸福は社会資本からしか生まれないという点です。

これは私にとって最も課題を感じるポイントでした。私は現在独身であり、強いつながり(愛情空間)を持っているとは言えません。
社会資本は以下の3層に分類されます:

  • 愛情資本:家族、パートナーなど最も密接な関係

  • 友情資本:友人、同僚などの信頼できる関係

  • 貨幣資本:お店の店員、取引先などお金でつながる関係

貨幣空間はある程度豊かにありますが、愛情空間が希薄な現状は、30代独身男性としては深く共感できる悩みだと思います。

一方で、フットサルなどの趣味やSNSを通じた新たな出会いなど、現代のテクノロジーを活かした「偶発的な出会い」も希望を感じさせます。


私なりの結論:「資本のポートフォリオを組む」

橘さんの結論は非常にシンプルです。

  • 金融資本は「分散」して守る

  • 人的資本は「集中」して高める

  • 社会資本は「小さな愛情空間」と「広い貨幣空間」に「分散」する

この考え方は、資産運用と同じく、リスクとリターンを最適化する戦略的な人生設計のヒントになります。

私自身、金融資産と人的資本はある程度構築できていると感じています。これからは、社会資本にもう一歩踏み出して、自分なりの「幸福の最適解」を模索していきたいと思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました