2025年7月、日本の長期金利が17年ぶりの高水準に達しました。

「金利が上がると何が起きるの?」「高配当株投資に影響はあるの?」という疑問をお持ちの方も多いはず。
この記事では、金利上昇の背景・今後のリスク・高配当投資家が取るべき行動を、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
🔍 なぜ金利が上昇しているのか?
2025年7月15日、日本の**10年物国債利回りが1.595%**に上昇しました。これはリーマン・ショック直後の2008年以来の水準です。背景には次の2つの「不安」があります。
① 政治の不安定化
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7月20日の参院選を前に、自民党が議席を減らす可能性が高まり、今後の政権運営が不透明に。
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与野党ともに「給付金」や「消費税減税」など、財政出動型の政策を打ち出しており、**財政規律が緩むのでは?**という懸念が台頭しています。
② 日本の信用リスクの上昇
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国債を支える根幹である「国家の信用」に対して、マーケットが疑いを持ち始めている。
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海外投資家の一部では、「将来の日本国債の格下げ」リスクを意識し始めており、長期国債の売り圧力が強まっています。
📉 トリプル安に向けたリスク構造
現在、日本市場では以下の「トリプル安」の地ならしが進行しています。
| 現象 | 背景と影響 |
|---|---|
| 円安 | 財政リスクの高まり → 海外勢の円売り加速 |
| 株安 | 金利上昇 → 企業の資金調達コスト増、景気悪化懸念 |
| 債券安(=金利上昇) | 国債が売られる → 利回り上昇、政府の利払い費負担増 |
特に長期金利の上昇は、住宅ローン金利の上昇や社債発行コストの増加など、私たちの生活にもじわじわと影響してきます。
🛡 高配当株投資家が今とるべき戦略
このような市場環境において、高配当株投資家は「ただ配当利回りが高い銘柄を買えばいい」というわけではありません。次の3つのポイントを重視すべきです。
✅ 1. 財務基盤が強く、利払いリスクが低い企業を選ぶ
→ 利上げ局面では、借入の多い企業ほど利益が圧迫されます。無借金経営や自己資本比率が高い企業が◎
✅ 2. 海外売上比率が高く、円安メリットを受けられる企業
→ 円安はコスト増につながる一方で、輸出企業やグローバル企業には追い風です。
✅ 3. インフレ耐性のあるセクターに注目
→ 原材料コストの転嫁が可能な「生活必需品・通信・エネルギー」などが有力。
💡 今だからこそ注目したいセクター・銘柄
📦 インフラ・通信
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KDDI(9433):安定配当+円安耐性あり。スマホ需要も底堅い。
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日本電信電話(NTT/9432):分割後の買いやすさと成長投資が評価材料。
🛢 エネルギー・資源
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INPEX(1605):資源価格の底堅さ+高配当。DOE方針で今後も還元強化に期待。
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ENEOS(5020):ガソリン・精製関連。インフレ下でも価格転嫁しやすい。
🍜 生活必需・小売
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キヤノン(7751):インフレ耐性あり、円安メリット享受。
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花王(4452):日用品の価格支配力あり。再成長の兆し。
🏦 金融・保険セクター:金利上昇の最大の恩恵株
日本の長期金利が17年ぶりの高水準となった今、最も注目されているのがメガバンクや保険会社などの金融株です。金利が上がれば銀行の貸出金利も上がり、利ざや(利息収益)が拡大するためです。
| 銘柄 | 特徴 |
|---|---|
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 海外展開が強み。国内・米国ともに金利上昇で利ざや拡大が期待できる。配当利回りは約4%と高水準。 |
| 東京海上HD(8766) | 保険収入に加え、運用利回りの改善が期待できる。インフレ・金利上昇局面に強い体質。 |
| オリックス(8591) | リース・金融・不動産投資など多角経営で安定感◎。DOE(株主資本配当率)を導入しており、配当の安定性が高い。 |
📝 注意点:
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銀行株は金利上昇に強い反面、「信用不安からくる金利上昇」には要注意。
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日本経済全体が低迷すれば、国内依存の強い地方銀行などは逆風を受ける可能性も。

🏢 REIT(不動産投資信託):選別がカギの高配当資産
一方で、REIT(リート)に関しては注意が必要。基本的に金利上昇局面では不利ですが、財務健全性が高く、収益安定性のあるREITは分配利回りの面で依然魅力的です。
| 銘柄 | タイプ | 評価ポイント |
|---|---|---|
| 日本ビルファンド投資法人(8951) | オフィス系 | 東京一等地に強み。低LTV・高格付けで財務健全性◎。 |
| 日本プロロジスリート(3283) | 物流系 | 稼働率ほぼ100%。長期テナント主体で安定収益。 |
| 日本賃貸住宅投資法人(8986) | 住居系 | 住居特化で賃料安定性高く、LTV低水準。 |
| 日本ホテル&レジ(3472)※保有中 | ホテル系 | 観光需要回復が追い風。ただし景気後退・金利上昇のダブルパンチに注意。 |
| 星野リゾート・リート(3287)※保有中 | リゾート系 | ブランド力は魅力だが、借入負担が重め。今後の観光需要に左右されやすい。 |
📌 選定ポイント:
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借入比率(LTV)が50%以下
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稼働率が高く、利益超過分配がない
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安定した分配金実績があるかをチェック

✋ 最後に:不安定な時代でも投資家は冷静に
「金利が上がるから投資をやめる」のではなく、「金利が上がった時に何が起きるか」を理解して、ポジションを取ることが大切です。
日本が迎えているのは、信用力が試される局面です。だからこそ、安定的な配当を出し続けられる企業の見極めが、これからの資産形成の鍵になります。
以上です。



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