牛丼でおなじみの吉野家が、いま“ラーメン事業”に本気で取り組もうとしています。
実はこのラーメン事業、単なるサブブランドではなく、同社の「第3の柱」として育てるべく、かなりの戦略投資が行われているのをご存じでしょうか?
本記事では、吉野家ホールディングスが発表した中期経営計画(2025~2029年度)と直近の決算内容をもとに、ラーメン事業の規模感・成長見通し・戦略的意義について初心者にもわかりやすく解説していきます。

目次
1. 吉野家が目指すラーメン戦略とは?
吉野家HDは、2029年度までの中期経営計画において、ラーメン事業を「第3の主要セグメント」と明確に位置づけました。
2024年度時点ではわずか売上高80億円、営業利益4億円の規模だったラーメン事業を、
2029年度には売上高400億円、営業利益40億円にまで育てる計画です。
これは年平均成長率(CAGR)**38.0%**という驚異的な伸びを意味します。
2. どんなブランド?どう成長させる?
ラーメン事業では以下の施策が取られます:
-
国内出店戦略:既存ブランドの店舗拡大
-
マルチブランド戦略:新ブランド創出+M&A(国内外)
-
海外展開:フランチャイズを軸にグローバル進出
-
製造強化:宝産業の製造機能を活用し、欧州・ハラル市場にも対応
-
デジタル活用:省人化や効率化を進めるIT投資も実施
このように、外食×製造×DXを掛け合わせた「ラーメン総合プラットフォーム」化を目指しています。
3. 直近の決算から見る全体の事業バランス
2024年度実績では、グループ全体の売上高は2,049億円、営業利益は73億円。そのうちラーメン事業はまだシェアが4%程度ですが、2029年度には売上高3,000億円のうち**13%(400億円)**を占める見通しです。
セグメント別CAGR(2024→2029):
-
吉野家:6.4%
-
はなまる:9.2%
-
海外:2.2%
-
ラーメン:38.0%(営業利益は58.5%)
この数字からも、ラーメンが「成長エンジン」として強く期待されていることが分かります。
4. なぜ吉野家はラーメンに注力するのか?
背景には以下の課題があります:
-
牛丼中心の事業ポートフォリオからの脱却(売上比率:2021年69%→2029年61%)
-
少子高齢化による市場縮小リスクへの対応
-
多様化する顧客ニーズと食文化
-
海外事業の伸び悩み(特に米中)
「牛丼一本足打法」からの脱却と、安定した収益の分散化を狙った戦略と言えます。
5. 投資家目線で見る注目ポイント
投資家として注目すべきは以下の点です:
-
ROIC(投下資本利益率)目標:7.0%
-
D/Eレシオ:0.9倍以内(財務健全性を維持)
-
5年間でラーメン事業に約200億円以上の投資
本気の成長投資が行われており、成功すれば今後の業績に大きく寄与する可能性があります。
まとめ:
吉野家が本気で仕掛けるラーメン事業は、単なるサイドビジネスではありません。今後5年間で数倍の規模に成長させ、「食の総合企業」としての地位を築こうとしています。
現時点ではまだ始まったばかりですが、成長性・収益性の両面で注目すべき新戦略として、投資家や消費者の目が離せない領域となりそうです。
コメント