【戦略分析】カラオケ「まねきねこ」独走モードへ コシダカHDの業績と“学生囲い込み+脱カラオケ一本足”戦略を整理

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コラム

カラオケ「まねきねこ」を展開するコシダカホールディングス(2157)の2025年8月期決算が出そろいました。
カラオケ事業の売上高は約671億円と、コロナ前19年比で約1.9倍。営業利益も約124億円と過去最高圏です。コシダカホールディングス+1

一方で、赤字店の減損処理で最終利益は減益。成長ストーリーと同時に、構造調整も着々と進めているのが今回の決算の中身です。

この記事では、

  • 決算数字(カラオケ事業・連結)

  • 好調を支える「高校生囲い込み」と新しいエンタメ施策

  • Pairsとの協業や「金のまねきねこ」など、脱“カラオケ一本足打法”の動き

  • 投資家目線での注目点・リスク

あたりをまとめます。


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1.コシダカHDと「まねきねこ」のざっくり概要

コシダカホールディングスは、カラオケ「まねきねこ」を中核としつつ、不動産管理・飲食店なども抱える持株会社です。

2025年8月期末時点の店舗数は以下の通り。コシダカホールディングス

  • カラオケ店舗:日本703店(前期比+39)、海外25店(韓国・マレーシア・タイ・インドネシア)

  • 合計728店体制

IR資料上も、売上・利益のほとんどをカラオケ事業が稼いでおり、「まねきねこ=コシダカHDの本業」と見て問題ない構造です。コシダカホールディングス


2.2025年8月期決算の全体像

まずは連結ベースの数字を整理します。

連結業績サマリー(2025年8月期)

項目 2024年8月期 2025年8月期 前年比
売上高 約632億円 約694億円 +9.7%
営業利益 約102億円 約114億円 +12.1%
経常利益 約110億円 約116億円 +6.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 約67億円 約53億円 ▲21.9%

(決算短信の数値を億円換算し四捨五入)コシダカホールディングス+1

売上・営業利益・経常利益はそろって2ケタ成長ですが、最終利益だけは減益。
理由は、連続赤字店などを中心に約33.9億円の減損損失を計上したためです。コシダカホールディングス

要するに、

  • 本業(カラオケ)の稼ぐ力はむしろ強くなっている

  • 将来の稼ぎに見合わない資産は、このタイミングで一気に評価替えした

という構図です。


3.カラオケ事業の中身:売上も利益も過去最高圏

次に、カラオケセグメント単体を見ます。

カラオケ事業の業績

項目 2024年8月期 2025年8月期 前年比
売上高 約612億円 約672億円 +9.7%
営業利益 約115億円 約124億円 +7.9%
営業利益率 18.8% 18.5% ▲0.3pt

コシダカホールディングス+1

ポイントを箇条書きにすると:

  • 新規出店効果:1年間で50店増。新店の売上寄与が約41億円分。コシダカホールディングス+1

  • 既存店も伸びている:既存店売上は前年比+3.3%、来店客数+3.7%。客単価は微減(▲0.4%)だが、来店数の増加でカバー。コシダカホールディングス+1

  • 原価・人件費・電気代は上昇:人件費・家賃・電力などのコストは軒並み2ケタ近い伸びだが、オペレーションの効率化(人員配置・電力の最適化)で吸収。コシダカホールディングス

営業利益率は18%台半ばと、外食・レジャー業の中ではかなり高水準。
店舗数を増やしつつ、この利益率を維持しているのが現在の「まねきねこ」の強さです。


4.好調の裏側:高校生囲い込みと“低価格×高稼働”モデル

数字だけ見ると「出店を増やしたから伸びただけ」に見えますが、実態はもう少し戦略的です。
ここ数年の成長ドライバーは、ざっくり言うと 若年層の囲い込み です。

高校生・大学生向けプラン

  • 高校生2人以上で室料無料になる「ZEROカラ」

  • 大学生・専門学生向けのフリータイムプラン「まふ(まねきねこのフリータイム)」

といった、学生の財布に優しい料金体系を長年継続しています。

コシダカ側の説明では、高校生アプリ会員は約160万人。
国内の高校生が約300万人弱なので、「高校生の2人に1人以上が会員」というレベルの浸透です(文科省統計と同社説明より概算)。

高校生の利用単価は1人あたり500円前後と低い一方、
成人後は1人1500円前後に上がるとのことで、若いうちから習慣化させて生涯価値を取りにいく設計になっています。

カラオケは一度慣れたブランドから乗り換えにくい という業態特性もあり、「高校生で取り込んで、そのまま20代以降も使われ続ける」ループを回しているわけです。

持ち込み自由+高粗利の構造

まねきねこは「飲食持ち込み自由」が基本。

  • フード・ドリンク売上は他チェーンより取りにくい

  • 代わりに室料中心のシンプルな収益構造

  • 室料はほぼ粗利なので、とにかく部屋を埋めた方が儲かる

というモデルです。

学生向けに一見安売りしているようでいて、
部屋稼働率を上げることで、固定費負担を薄め、高い利益率を確保しているのが実態です。コシダカホールディングス


5.“カラオケ一本足打法”からの脱却:コラボと新サービスの拡大

ここ数年、コシダカは「カラオケ=歌うだけ」を超える仕掛けを連発しています。
日経クロストレンドの記事や同社資料から整理すると、方向性は大きく3つです。

5-1.マッチングアプリ「Pairs」との協業

  • 2024年から「まねきねこ×Pairs」のカラオケ合コンイベントを開始

  • 40人募集に1000人以上の応募が来るケースもあり、一部店舗では平日夜に定例開催

  • イベント終了後も、7〜8割の参加者がそのまま2次会で歌っていくというデータ

まねきねこ側から見ると、
集客はPairs側が担当し、会場とカラオケ設備を提供するだけで売上が立つ モデル。
人が薄くなりがちな平日夜の時間帯をイベントで埋める狙いがあります。

さらに、受付~会計を無人化できる新POSレジや、ドリンクバー完全無料化による省人化を進め、
浮いたスタッフをイベントMCなど「場を盛り上げる役」に振り向ける 方向性を打ち出しています。コシダカホールディングス

5-2.高価格帯ライン「金のまねきねこ」とエンタメ強化

記事やIR資料で触れられている主な施策は以下。

  • 高価格帯コンセプト店「金のまねきねこ」の展開(内装・フードなどをグレードアップ)

  • VRカラオケ「メタカラ」:ゴーグルを付けてアバターで歌う体験型サービス

  • 「本人音源カラオケ」:権利元から許諾を取り、原盤音源を使った新サービス

  • アニメ・VTuberとの年間50件規模のコラボルーム・ドリンク企画

  • 配信者向けの撮影機材付きルーム

どれも「カラオケボックス」という箱を、推し活・配信・イベントの場に仕立て直す試み です。

5-3.ゲーム・スポーツ観戦など“時間の奪い合い”への対応

  • 部屋のモニターで『桃太郎電鉄』『スイカゲーム』などを遊べる機能

  • 『WOWOW』を視聴できる環境を整備し、スポーツ観戦の場にする構想

カラオケ業界のライバルは、もはや「他チェーン」だけではありません。

  • スマホゲーム

  • 動画配信サービス

  • スポーツバー

など、若者の余暇時間を奪うあらゆるサービスと競合しています。
そこで「歌う以外の楽しみ」を積極的に取り込み、
“時間消費インフラ”としてのポジションを取りに行っている のが今のまねきねこです。


6.2026年8月期の会社計画と、成長余地

決算短信によると、会社側の2026年8月期通期予想は以下。コシダカホールディングス

2026年8月期 通期予想(連結)

項目 2025年実績 2026年予想 前年比
売上高 約694億円 約825億円 +19.0%
営業利益 約114億円 約130億円 +13.8%
経常利益 約116億円 約129億円 +11.3%
親会社株主に帰属する当期純利益 約53億円 約75億円 +42.6%
1株利益(EPS) 約64円相当 約91円 +約42%

配当についても、

  • 2024年:年間18円

  • 2025年:年間24円

  • 2026年予想:年間26円

と、増配基調を示しています。コシダカホールディングス

最終利益の急増予想は、2025年に一括で計上した減損が一巡することが大きいですが、
売上・営業利益も2ケタ成長前提なので、会社としてはまだまだ出店余地と既存店の底上げに自信を持っていると読めます。


7.投資家目線での注目ポイントとリスク

ポジティブ要因

  1. 高い営業利益率(18%台)と出店余地

    • レジャー業でこの利益率は素直に強い。

    • まだ地方・海外ともに出店余地があると見られている。

  2. 高校生~20代のロイヤル顧客基盤

    • 高校生会員160万人という数字は、将来の安定需要を支える「見えない資産」。

    • 料金を多少いじっても来店が続きやすい構造。

  3. サービス多角化による“利用シーンの拡張”

    • Pairsコラボ、本人音源カラオケ、ゲーム・スポーツ観戦など、
      「カラオケに行く理由」が増えている。

  4. 減損を先に出し終えたタイミング

    • 不採算店の整理が進めば、今後の利益は見かけ上も伸びやすい。

リスク要因

  1. 人件費・電気代の上昇リスク

    • 現状はDXやオペレーション改善で吸収しているが、
      これ以上のインフレになるとさすがに利益率は萎む可能性がある。

  2. 若年人口の減少

    • 戦略上、若年層依存度が高い。

    • 少子化が進む中で、単純なボリュームは確実に減っていく。

  3. 余暇のデジタルシフト

    • スマホゲーム・配信・メタバースなど、
      「部屋を借りなくても楽しめる」コンテンツとの競合は強まる一方。

    • エンタメ施策が当たり続ける保証はない。

  4. 海外展開の難易度

    • 東南アジアに加え、米国・フィリピンへの本格進出を準備中。コシダカホールディングス

    • 文化・規制の違い、現地プレーヤーとの競争など、読みづらい要素が多い。


8.まとめ:まねきねこは“エンタメインフラ”になれるか

コシダカHDの2025年8月期決算を整理すると、

  • カラオケ事業の売上・営業利益は過去最高圏

  • 高校生からの長期囲い込みで、需要の土台はかなり厚い

  • コロナ禍で攻め続けた出店が、いまようやくフルに効き始めている

  • 同時に、不採算店の減損で貸借対照表の筋肉質化も進めた

という姿が見えます。

一方で、若年人口減少・コスト上昇・余暇のデジタルシフトといった逆風も確実に存在します。
それに対し、Pairsとの協業や高価格帯店舗、「本人音源カラオケ」などで
「歌うだけの箱」から、「時間を使って遊ぶインフラ」への進化 を狙っているのが現在地と言えそうです。

個人的には、

  • 高い利益率

  • 高校生からのロイヤルティ構築

  • 減損を打ち切った後の利益回復

という3点は投資対象としてかなり魅力的ですが、

  • 海外展開の成否

  • 新しいエンタメ施策がどこまで定着するか

を見極めながら、中長期の成長ストーリーが崩れていないか を追っていく必要があると感じます。

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