【2026年03月】配当利回りだけの投資に違和感を持ち始めた話

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コラム

本日読んだ日経新聞の記事で、かなり考えさせられました。

ひとつは、個人株主がもはや「物言わぬ安定株主」ではなくなり、企業に対して意思を示す存在になってきたという話です。

個人投資家も「物言う株主」に 72%が議決権行使、経営陣刷新に賛同 - 日本経済新聞
【この記事のポイント】・企業は「安定株主」として個人開拓急ぐ・物言う株主の提案に多く賛成する事例も・成長戦略を伝えて定着の努力欠かせず個人株主が「アクティビスト(物言う株主)」に変貌してきた。アクティビストなどの株主提案に個人の過半が賛同し...

もうひとつは、日産自動車の社長インタビューで、過去の無理な販売拡大や安売りを反省し、企業文化や顧客価値の立て直しこそ本質だと語っていた話でした。

〈直言〉企業文化の刷新こそ本丸 イバン・エスピノーサ氏 日産自動車社長 - 日本経済新聞
神奈川県・追浜工場の閉鎖などで、カルロス・ゴーン元会長が着任した1999年の水準まで生産能力が逆戻りする日産自動車。他企業も参考にした「リストラ→V字回復→成長戦略」という企業再生モデルはなぜ水泡に帰したのか。就任から1年。名門復活へ指揮を...

一見すると別々の話に見えますが、私には同じテーマを指しているように見えました。

短期の数字を整えることと、本当に意味のある価値を作ることは別物だということです。

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配当利回りだけを見ていた自分への違和感

正直に言うと、私自身もこれまでの投資では、かなり配当利回りを見てきました。資本主義の中で生きている以上、資産を増やしていく必要がありますし、配当はその重要な手段です。

ただ最近は、少し考え方が変わってきました。

高配当だから買う。
株主還元が厚いから持つ。

この見方だけでは浅いのではないか、と感じるようになっています。

その企業は何を生み出しているのか。
社会の中でどんな価値を提供しているのか。
短期の数字ではなく、長期で積み上がるものがあるのか。

ここを見ないと、結局は「数字が良さそうに見える企業」に乗っているだけになりかねません。

なぜ「短期の数字」を追うと壊れるのか

この違和感は、過去の失敗事例を見るとかなりはっきりします。

中国・恒大集団(エバーグランデ)

中国の不動産問題は象徴的でした。不動産価格の上昇を前提に借入で拡大を続け、需要というよりも「上がり続ける前提」で資金を回していた側面が強かったと思います。

市場が止まった瞬間に、負債がそのまま崩壊要因になった。これは、実需ではなく期待で膨らんだ成長の危うさを示していたように見えます。

リーマンショック(2008年)

リーマンショックも同じです。住宅ローンを証券化し、リスクを分散したように見せながら、実態としては返済能力の弱い債務が積み上がっていました。

中身の弱い資産を、金融技術や構造で良く見せても、最後は耐えられない。見かけの成長と実体の成長は違うということです。

直近の日本企業の例から感じること

日本企業でも、成長が前提になりすぎる危うさは無関係ではありません。

たとえばニデックは、急成長企業として期待されてきましたが、目標達成や成長継続への圧力が強くなりすぎると、どこかで組織や現場に無理が出ます。成長そのものが目的化すると、企業は少しずつ歪みます。

また、プルデンシャル生命保険のような事例を見ても、数字や成果を強く追う文化が行きすぎれば、顧客本位や本来あるべき企業倫理とのズレが生じる危険があります。もちろん個別事情はそれぞれ違いますが、共通しているのは、成果を出すこと自体が目的化すると、組織は判断を誤りやすいという点です。

債務の話とも完全につながる

この話は、以前読んだ債務の本の内容ともかなりつながっています。

【書評】『世界は負債で回っている』経済成長・格差・投資判断をつなぐ“借金”の見方
「借金」と聞くと、あまり良いイメージはありません。家計でも企業でも国でも、できるだけ少ない方がいい。多くの人がそう考えると思います。私もこれまでは、どちらかといえばその感覚で見ていました。特にニュースでは「政府の借金」「財政赤字」「債務残高...

重要なのは借金の量ではなく、質と使い方です。

  • 新しい価値や需要を生むための借金は、経済を前に進める
  • 既存資産の価格を押し上げるための借金は、見かけだけ膨らみやすい

企業も同じだと思います。

  • 顧客価値を作るための投資は強い
  • 短期の数字を作るための拡大は脆い

結局のところ、何のために資金を使っているのかがすべてです。

公益資本主義っぽい企業とは何か

では、どんな企業に投資したいのか。

私は「公益資本主義」という言葉を、理想論としてではなく、かなり現実的に捉えています。利益を出すことは前提です。利益を出せない企業は、社会に価値を返し続けることもできません。

そのうえで、公益資本主義に近い企業には、いくつか共通点があると思います。

  • 投機ではなく実需に根ざした事業を持っている
  • 安売りや一時的な数字作りではなく、価値創造で稼いでいる
  • 利益を配当だけでなく、研究開発・設備・人材にも回している
  • 生活や産業を支える資産・技術・仕組みを残している
  • 株主還元と事業投資のバランスが取れている

要するに、お金を回すための会社ではなく、価値を生むためにお金を使っている会社です。

具体例を挙げるなら

小松製作所

小松製作所はわかりやすい例です。建設機械や鉱山機械は景気の波を受ける事業ですが、社会インフラや資源開発の現場に直結しています。現場で必要とされるものを作り、その価値で利益を上げているという意味で、かなり実需ど真ん中の企業です。

ブリヂストン

ブリヂストンも地味ですが強い会社だと思います。タイヤは物流や移動を支える基盤ですし、単なるモノ売りではなく、運行や保守も含めた価値提供に広がる余地があります。価格勝負だけではなく、現場価値で勝てる構造を持っている点に意味があります。

キヤノン

キヤノンは成熟企業ですが、ものづくり企業としての実体があります。株主還元だけを見れば高配当株のひとつに見えるかもしれませんが、何を作り、どんな用途で社会を支えているかまで見ると、印象は変わってきます。

綺麗事ではなく、現実とのバランス

ここは誤魔化したくありません。

私も資本主義の中で生きていますし、投資をしてお金を作っていく必要があります。配当も重要ですし、利回りも見ます。社会性があるから利回りはどうでもいい、というつもりはまったくありません。

ただ、利回りだけを見て投資するのも違うと思うようになりました。

結局見たいのは、

価値を生む企業かどうか

です。

その結果として利益が出て、配当が出て、株主にも還元される。私はその順番で見たいと思っています。

短期の数字を作る企業ではなく、社会に必要な価値を生み、その結果として利益と還元がついてくる企業に投資したい。最近はそう考えるようになりました。

まとめ

日経新聞で読んだ個人株主の記事と日産社長のインタビューは、結局同じ方向を向いていたように感じます。企業は短期の数字を整えるだけでは強くならない。必要なのは、顧客や社会にとって意味のある価値を作ること、そしてその価値に共感する株主に支えられることです。

投資家としても、そろそろ配当利回りだけではなく、その企業が何を生み、何を残すのかをもっと見ていきたいと思います。

ただ、綺麗事ではなく、利益も必要です。
そのうえで、利益と公益が両立している企業に資本を置くことを意識していきたいですね。

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